20250916

2000/09/16(土)

 
姉妹都市のお祭りで、フランスとイタリアの市がたって見に行った。おいしそうなものが山ほどあって、日本でのことを思えば夢のような安さなんだけれど 今の私にとっては やっぱり高くて 買わなかった。病院で食事は間に合っているからねえ。
その後アナと本屋さんめぐりをした。アナとは本の趣味が合って楽しい。ヘッセの話になった時、ヘッセが好きかと聞かれて 2、3の作品は凄くいいと思うけど あとはあんまり、と言ったら、どれが好き?と聞かれ、「デミアン」「そう!やっぱり あれだよね!」「荒野のおおかみは?」とまた聞かれ、「2番目に好き」「そうそう!」 「シッダールタは?」「あれはあんまり。ナルチスとゴルトムントの方が好き」「やっぱりそうだよね」と すっかり意気投合。
アナはソルジェニーツィンを知らなくて、私がイワンをみつけて「これ」と教えてあげたら即買うので びっくりした。「幸子がいいって言うから 買ってみる」と。アナに素敵なドイツ語の本をいくつか教えてもらって、その時はみつからなかったけど みつけたら是非読んでみよう。お互いに朗読しあったりして楽しんだ。アナは読み聞かせが凄く上手。




売り物の帽子とマフラーを試着しているアナ。フランス語圏のアフリカにいた事があるので、市でフランス語を話せるのが懐かしくて、喜んでいた。

病院でストレスをためて働くか 楽しく働くかは 結局本人次第。例えばナースコールでとんで行って「この角砂糖を半分に切って」と言われたら、この忙しい時に!!キーッ!!と反応することもできるし、笑い話しとして同僚に「あのね、さっきね・・・」と話して 爆笑することもできる。薬を飲ませたくても口を絶対開かない人に 力ずくで口をこじ開けることもできるし、策略でうまく口を開かせることもできる。(これはやってみたら なあんだ、という事なんだけど、大口開いて「Ahーーー」と言ってみせると つられて「Ahーーー」と ぱっくり口を空いてくれる。あまりにもうまくいって 笑えて仕方がなかった。しかも何回でも通用するの。二さじめは駄目かと思ったんだけど、何さじでもO.K.) 



ナースコールしておいて何が頼みたかったのか忘れちゃうひともいるし、「Hilfe mir(助けて)!」と言うから 一体何をしたらいいの?と聞いたら「・・・etwas gutes(何かいいこと)」とか。楽しくて仕方がないけど、ナーバスになっちゃう看護婦さんもいる。(新しい子は特に) 私なんか帰り道に 思い出し笑いしちゃう位だけどなー。


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20250913

2000/09/13(水)

 
病院の遠足でスイスへ行った。ボーデン湖。日帰りの社員旅行みたいなもんね。
病院は休めないから3回に分けて順番に行くの。楽しかったよー☄  水族館にも入ったけど、Boden See(ボーデン湖)~Rhein(ライン川)~Nordsee(北海)という水族館で 淡水魚が殆どで きれいなのはいなかった。でも、エイってひょうきんだね。水面に顔出して 立ち泳ぎとかしてるのは 人間を眺めているんだって。ちゃんと見分けるらしい。あと嗅覚も鋭いし、電磁場も感知するんだって。知らなかった。
古い町並みを歩いて、Caféに入って Apfelstrudelを食べて、船にも乗って・・・。


本当はアナも来る筈だったのが Marburgへ入学手続きに行かないといけなくて来ず、ビルギットとマーグレットという同じ階の看護婦さんと一緒に行動した。(階毎にStationが分けられている)
いろいろ話していたら、こんな素敵な病院でも 看護婦不足なんだって。お年寄り相手で肉体的にキツいから。医者はどこでも過剰なのにねえ。就労ビザさえあれば 看護婦になって一生ここで働いてもいい、と思っちゃう位の病院だけど、そう思うのは私は日本の「職場」とか「病院」に慣れてしまっているからなんだろうねえ。こちらの人にとっては 確かにいい病院だけど、そんな感涙、という程じゃないみたい。キツいのは確か。お年寄りと言っても大半は太っているから 動かす&支えるのは大変。・・・でもねえ、本当に働くことが「喜び」なんだよ。てっきり働きたい人が押し寄せているんだと思っていた。考えられん。


まがりなりにも「御飯」が炊けるようになると ふりかけが欲しい。こちらのパラパラライスならスープやソースと合うけど、ねちっとした御飯にクリームソースなんか かける気しないもんねー。一度正にチャーシュー、というハムを食べたことがあるから、あれを刻んでお正油たらしたら いけるかも。卵が新鮮だから卵御飯もいいかも。でもお茶碗もおはしもない。

兎に角今は食べ過ぎて 胃が疲れているだろうなー、と思う。晩御飯でも 今迄は空腹が満たされるとやめていたのに、今は病院で毎日 晩御飯用のパン、ハム、チーズ等一包みもらうから一包み食べちゃう。お昼もお腹がすかないように たっぷり食べるし。それでも仕事が終わるころにはもうキューーーッ⤵  という位 お腹ペコペコになっちゃう。休憩にはケーキ食べるし、早番の時は朝ごはん 家と病院と2回食べるし。名古屋ではいつも盛り切りで 小食だったのになー。

* * * * *

この時はまだ医者過剰で、就職はかなり難しいという見込みだった。
医者になるのは医学部で、お金を稼がない大学生なので、席さえあればビザは下りる。看護婦になるのは職業訓練校なので、看護学生のうちから給料(少ないけれど)が出るため、就労ビザが必要。
そしてこの実習は無給なので、三食ごはん付きだった。

お肉屋さんで、切り落とした端っこを山にして安く売っていて、一枚一枚違うのが混じっているのが丁度良くて、私はよくそれを買っていた。その中に一度、「うわっ、これ、チャーシューやん!」というのが混じっていた事があったのだ。


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20250912

2000/09/12(火)

 
猫、最後の方はイマイチ。今週は遅番が多くて有難い。早番で帰って来ても疲れていて何もできないから 遅番で午前中に色々しておく方がよい。来期の新入生が書類の茶封筒を抱えて街をうろうろしている。半年毎に新入生、というのは不思議な感じ。
遂にかかとをこする やすり(?)を買った。靴下が脱げない位がしがしだったから。

患者さんに問題爺の作家がいるんだけど、私のことを凄く気に入ってくれている。自立している人なので 私は「お世話」は殆どしていなくて 食事やコーヒーを運んだり ナースコールで行ったりする位なんだけど 「その笑顔がとてもいいから 一日中でもここに居て欲しい」などと言ってくれる。(←日本語にするとあやしいけど ちゃんと礼儀正しい人だよ。何故 問題爺かと言うと 酸素を自分で外して散歩に行っちゃったり、いろいろ好みが激しい。)戯曲が70年代に日本語に翻訳されているんだって。で、今日は名刺をくれて、「どこに住んでいるの?」と聞くから何かと思ったら、その人の隣人が旧市街に素敵なWohnungを貸しているんだって。家賃550マルク位で、家主はよく知っているけど凄くいい人だって言っていた。う゛ー、誘惑。この住宅難のTübingenで、旧市街に500マルク代で住めるなんて!!! でも今の家賃の倍だからなー。断るのが本当につらい。静かで窓からお城が見えて、教会のすぐ近くのとてもいい所なんだって。はあー。誰かと二人で住んだとしても今より水道・電気代分は高くなるし、友達と住むと気儘に勉強できないしね。残念。あ゛う゛ー💧💧💧 がるがる

凄く気の合う看護婦さん二人がいて(同年代)、「幸子がもうすぐいなくなってしまうのは とても残念。凄くいい働きをするのに!」と言ってもらった。これは余り認めたくないけど あの悲惨な営業時代の下働きが役立っていると思う。今の私は重要な仕事というのはできないから、看護婦さんが何か片付けとか雑用をしようとしていたら すぐ 私がやる、と取るし、看護婦さんが手伝いを必要とする時には 自分のは後まわしにして すぐ行くし。実習生なんて所詮 便利屋さんなんだから そうあるべきだと私は思うのね。
でも、今迄は お金をもらう以上は楽しい仕事なんて存在する訳がない、というのが持論だったんだけど、ここにあったわ。今はお金もらってないけど 同じ内容でバイトもできるし、看護婦さんも区別していない(バイトと無給と)。何故こんなに楽しく働けるんだろう、と思ったら 人間関係が円滑だからなんだね。仕事を教わる上司というのはいるけれど、気を使わなくてもいい。勿論礼儀正しくはするけれど、礼儀というのはこちらでは一方通行はあり得ない。こちらがSieでよべば 相手もSieで私を呼ぶ(看護婦さんとはDu)。お医者さんだって手元にポットがあれば 看護婦さんにお茶をついであげるし、何かしてあげればすぐに「Danke!」と返ってくる。ちょっと気をきかせれば「Super!」「Toll!」と称賛される。そしてみんな にこにこしている。特に若くないお医者さんの穏やかな笑顔は日本では少ないかなー。大体笑っていない顔が(私は)浮かぶけど、どう?今の病院は ひとりずつ顔を思い浮かべると みんな笑顔で出てくる。ユーモアのある人が多いし。患者さんとも冗談ばっかり。車椅子で散歩している患者さんにお薬持って行ったら、薬イヤさに「私は○○じゃないよ、彼は病室に寝てる筈」なんて言った人もいたし。退院の時に別れを惜しんで 涙、涙の患者さんも多い。「絶対にあなた達の事は忘れない」「近くへ来たら寄るから」と。凄いことだよねー。

* * * * *

この、お医者さんが看護婦さんにお茶をついであげたの、もの凄いカルチャーショックで、今でも目に焼き付いている。こちらの感覚では、彼の近くにポットがあったのだから、当然の事だったんだけどさ。

ドイツ語にも敬称(Sie、あなた)と親称(du、きみ)があるのだけれど、日本のそれとはちょっと違う。日本なら目下が目上に敬称、目上が目下に親称を使ったりするけれど、ドイツではお互いに同じ称を使い合うの。上下関係ではなく、仲の距離というか、「敬語を使い合う、よそゆきの関係」と「くだけた言葉で話す、家族友達のような関係」を区別する。

「Wohnung」はアパートのこと。寮は水道・電気・暖房代込みだったけれど、アパートに住むと、そういうのも別計算になる。そしてこの作家爺、今思えば、絶対に下心ありありだったわ・・・。


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20250910

2000/09/10(日)

 
今日はお天気がよかったのでNeckarのほとりのベンチで半日過ごした。緑に囲まれて本を読んでいると たとえそれが解剖学の本でも 爽やかーーな気持ちになる。ああ、でも既に骨の立体感が薄れつつある・・・。前は目をつぶると コンピューターの立体図みたいに全方向からの図が浮かんだのに。やっぱり骸骨一体欲しいなー。これから筋肉を覚えるから 全体像を頭の中に叩き込まなくちゃ。
今 漱石の猫を読んでいる。やっぱりうまいねー。これぞ文学、文字を操る価値。しかし今の日本には解説ひとつ書ける人もおらんのか💢という気分。本を読み終わった人に あらすじだの感想文だの読ませてどうする💢 うきーっ ちょっとまともな事が書いてあるなと思うと大岡昇平とか伊藤整とか柄谷行人とか。←まだ生きてる?「今の人」? 中島敦の後で井上靖を読んだら あ、こりゃあかん、売りゃよかった・・・💧 漱石読んでると、記憶している万柳掲載ネタがちょこちょこ出てくる。これは選者の責任だよねー。たまに使い古されたようなネタも載っているし、選者暫く休養・充電した方がいいかも。・・・だからイマイチ常連のようにのめり込めない。作るのは楽しいけど。

* * * * *

何か色々、何様発言してますが、時効という事で(恥)。


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20250909

2000/09/09(土)

 
・・・

またまたみんなが遊びに来れないとは残念。ま、次の機会に、ね。
ところで送金はいつ頃してもらえるでせうか。年内にはしてくれる?こちらでマルク定期 年利4-5%というキャンペーンがあったけど逃したよ。ちっ だって残金そんなに余裕ないもん。

・・・

こっちへ来ると、私達の考え方が普通で、何故それが日本で通らないのか 誰も理解できない。リサさんは日本を知っているから わかるけど、ジェディもハネもキムもアナも。どこにLiebeがあるの?と。私が聞きたいよ。アナと死の医学の話しになって 私達のことを話したら 涙ぐんでいた。私もこちらへ来て、医学を勉強し始めて、実習を始めて、泣いてばかりです。ばあちゃんは私をドイツへ行かせたがらなかったけど、もし私が今 お年寄りにしている事をばあちゃんにしてあげたら どんなに喜んだかなーー、と。患者さんに「今日はお天気悪くて残念だね」と言ったら 「あなたが太陽よ」なんて言ってくれる。ナースコールで行くと、用事が済んでも「もうちょっとここに居て」と言われる。これがばあちゃんだったら、と。そういう不毛な事は考えない、何もやり直しできないからこそ 今 生きているお年寄りに沢山してあげるゾ、と決心したんだけど、なかなか、ねえ。じいちゃんが いまだに医療センターに通っているというのも 目の前が真っ暗になる思いがする。はあ・・・

・・・

寮は汚いけれど安いからねえ。もし縁があって いいWG(Wohngemeinschaft)でもみつかれば引っ越すかも。今 隣室が空いているので、どんな子が越してくるか ちょっと心配。静かな子ならいいんだけど。私にとっては騒音だけが重要問題。今は眠りが浅いからねえ。
体調はよい。生理が最初パタッと止まって その後3週弱周期でくるのが鬱陶しいけど、実習を始めたら めちゃくちゃ軽くなって がんがん働ける。働かなくちゃいけないのを身体が知っているのかなあ。どうも太ったよ。2kg3kg?は太ったんじゃないかなあ。病院で あー、満足、という位食べてるからねえ。でも、お金もらえなくて食券だけだから しっかり食べなきゃ損だし、実際動くからすぐ空腹になる。ジーンズがはけるサイズは保たなくちゃね。お母さんのKENZOのスカートももらいたいし。フフフ。

・・・

今週末はお休み。もらった炊飯器を試してみたら ちゃんと炊けたよ☄ ちょっと水加減失敗したけど。こっちの人はお米とがないし、吸水させないし、蒸らさないけど、その手順を踏んだら ちゃんと粘りのある御飯が炊けた。もらったふりかけでハグハグ食べて、1合位食べてしまった💦 感涙、という感じでは全くなくて、ああ、こんな食べ物があったなあ・・・(遠い目)・・・という状態。病気の時にいいかも。



こちらはもうすっかり寒くなって、朝なんかセーター着てもこごえる位。昼間は暑くてTシャツだけど。
アナはKafkaが好きだって。部屋へ遊びに来て、昔の写真を見せたら「一人の人間の発展の歴史!」と驚嘆していた。(中・高→現在) 昔の写真は本当に暗い顔をしている。名東なんか楽しかったのになー。なんででしょ。
アナも昔と今と全っ然違うよ。キムもそのタイプ。アナがTübingenに入学しないのは本当に本当に残念。凄く心の通うものがあるのになー。Platz-Tauschに応じる人がありますように。
日本からe-mailが英語で届くと、8割は "I'm busy." が入っている。なんか かわいそうになってくる。「忙しい忙しいという人程 何もしない」ってね。でも仕事は不本意でやるから どうしても 'busy' という感覚なんだろうな。私の働いていた時みたいに。今の私はやる事は沢山あっても全然 'busy' じゃない。 ・・・あ、一句できた。でも駄作。

* * * * *

当時の日本は既に、定期預金しても金利1%以下だったので、ドイツの定期預金は凄く魅力的だった。

「WG」はシェアハウスのこと。

当時は図書館にあるコンピューター(白黒画面)で、大学のメールアドレスを使っていたので、日本語が読めなかった。それで、英語やローマ字でやりとりしていた。


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20250908

2000/09/08(金)

 
アナがTübingenではなく Marburgの入学許可を受け取って、二人して大ショック。Marburgの志願者が少なくて まわされちゃったんだろうなあ。Platz-Tauschにかけるしかない。はあーーー・・・

ヘニングと会ってピアノを聴かせてもらった。かなりの難曲を弾きこなすんだけど、惜しいことに心がない。Schimmelの音は初めて聴いたよ。日本では日常的にヤマハ以外は殆ど聴く機会がないもんねえ。感想を聞かれなくてよかった。曲については聞かれたけど。
グリーグ、ショパン、スクリャービン、モーツァルト、バッハ、ベートーヴェン、ラヴェル、ブラームス・・・

* * * * *

前にも書いた通り、アナの成績は満点のようなものだったので、大学も志望が通ると信じて疑いもしなかったのだけれど、成績は合否を決めるだけで、どの大学に振り分けるかはまた別問題だったのだろう。
私はアナによってドイツ生活の楽しさを開眼して貰ったので、新学期からアナがいなくなるというのが、本当に地の底に突き落とされる位の絶望だった。
「Platz-Tausch」というのは、マッチングする相手があれば、大学の席を交換する事ができるの。

Schimmelというのはピアノのメーカー名。ヘニングのピアノに「心がなかった」のは、今思えば当然の事で、彼は入学直前に家族を二人も喪っていたのだ。


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20250907

2000/09/07(木)

 
また一人患者さんが亡くなった。誰も予想していなかった突然のことで、呆然。葬儀社がくる前に基本的な身仕度をさせるんだけど、まだぬくもりがあって なんかまだ生きているみたいな気がして、死というのは瞬間じゃない、というのを納得。ここでは(ドイツ?この病院?)死が生活というか 生きている中の一環として ごく自然に溶け込んでいるのを感ずる。
患者さんに「あなたはいいお医者さんになるよ」と言われると とても嬉しい。お世辞というのは社会の潤滑油かも・・・💧 でも、ま、お世辞にしても 言いたくない人には言わないんだし、と思って有難く聞いています。


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20250905

日付不明

 
ナースコール押しまくりの人は、実は ベッド安静じゃなかった!! 歩くことも トイレへ行くことも許可されていた!! こんな人もいるんだねー。何をわざわざ好んで尿器なんか使いたいかなー。呼びつけられる度に「ちょっとは動かないと筋肉弱るよ」と言ったが ちっともこたえない。私がいない時に「あの日本人の女のコはどこへ行った?」と探していたというから これでも私は優しいのかなあ。うむう。 
薬物中毒の人が入院してきた。クラウディアが「TropenklinikにDrogen」としゃれて喜んでいた。ちょっとイカレた目をしているけど、この程度の顔ならその辺に普通にいるねえ、という感じ。ま、ちゃんと治療中だし。
ちょっとボケた人二人の部屋で、片方が退院となって荷づくりしていたら もう片方もすっかり「旅立ち」の気分になって、二人でよだれかけした儘 ベッドに並んで腰かけて 荷物をかかえていた。ウフフ。「恍惚の人」を改めて読み直してしまった。ああ、日本!!
身内のボケた姿というのは悲しくなるから、かえって他人の方が楽しく世話できるんだろうな。個人の手におえるものでもないし。そうそう、病院でも寝間着は夜だけで、寝たきりの人以外はみんな着替える。自分で着替えられない人は手伝ってでも着替えさせる。気分が違うよね。





* * * * *

そうそう。
当時の日本の病院は、入院したらパジャマに着替え、食事もベッドでというのが普通だった。
それが、この病院で実習を始めてみたら、入院中でも昼間は普通の洋服に着替え、病室にテーブルセットがあって、そこで食事する。(更に軽症で移動に問題がない患者さんは、食堂に食べに行く)。というのに、びっくりしたのだった。

「Drogen」はドラッグのこと。
クラウディアは、この病院を紹介してくれた子。敬虔なクリスチャンだったので、ミッション系(アフリカなど未開の地に行くため、熱帯病にかかる事がままあり、それでTropenklinik)のこの病院を選んだのだと思う。確かお父さんがお医者さんでアフリカに住んだ時期があった関係で飛び級か何かしていて、同級生の中で最年少の十代だった(夏学期始まりだったので、殆どの子が20歳以上)。
オリエンテーションで仲良くなって、初めて寮に招待してくれて一緒にトマトソース・スパゲッティを作ったり、日本では大人になると予防接種の更新をしないと知って「これだけは必要」と受けるべき予防接種のリストを書いてくれたり、この病院に出す志望書や履歴書をチェックしてくれたりした。


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20250904

2000/09/04(月)

 
今日はお休みで これでもかという位寝た。(眠った。)
ぞうりは ようやくはいています。気持ちいい。でも かかとの具合が悪くて い草にひっかかる💦
柿の種も遂に開封。古くなっても勿体ないし。口がヒリヒリする位 辛さに敏感になっています。今はよく食べ、よく動き、まずよく眠る。なかなか健康。アルコールで手が荒れるのと かかとがバリバリなのは仕方ない。目はとても悪い。
化学(有機)が難しい💦 せめて高校でちゃんとやってればなあ・・・。あと一箇月で何とか予習しよう。あ゛ー う゛ー

学期中は鏡を見るのが恐ろしい位の形相で、歳とったなあ トホホ と思っていたんだけど、ここのところまずまずの顔。病院の鏡で見る顔が一番いきいきしているかな。少し力が抜けたというか、悲壮感漂う感じじゃなくなってきた。精一杯やれば ある程度の結果は出せることが判ったし、ベストを尽くしても駄目なら それはそれで仕方がないんだし。 ・・・と思っても また学期が始まるとああなるんだろうなあ。理屈じゃなく 追い詰められちゃうんだな。

* * * * *

当時のドイツはエキゾチックな外国の食べ物が今ほど広まっていなくて、辛いものは少なかった。それで、柿の種が凄く辛く感じたという訳。


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20250903

2000/09/03(日)

 
新しく入院してきた人でナースコール押しまくりの人がいて かなり疲れる。「ベッドにて安静」の人で トイレの場合もあるから 取り敢えずすっとんで行かないといけないのが、行ってみると「枕をちょっと直して」とか「水をもう少し足しておいて」(なくなった訳じゃないのを50cc位足させる💦)とか。日本のマイク式の方がいいかも。でも、あれだとナースステーションに誰かいないといけないでしょう。私達のはポケベルが鳴って、号室が表示されるの。食事介助とか 朝晩の身じたくの忙しい時間帯に限って鳴らしまくってくれるから・・・。裸の患者さんにがばっとお布団かけて とんで行くとこれだもん。しくしく
しかも私は気に入られていて、気に入らない看護婦さんとは衝突しまくるから 誰もナースコールに行きたがらない。うるうる 気持ちはわかるんだけどねえ。
前にもベッドから下りたいがために「トイレ」と言う人がいて、何度トイレにつれて行っても何も出ない。で、アナがキレて、「勿論私だって あなたの立場になれば 外へ出たくてナースコールすると思う。その気持ちは凄くよくわかる。でも これを繰り返していると 本当に必要な時に誰も来てくれなくなるよ。外へ出たいなら 時間のある時に来てあげるから」とキッパリ言った。
お年寄りは自分のやり方にこだわっていて絶対ゆずらないから大変。シャツをパンツの中に入れる人、逆の人、まずパンツをはく人、シャツを着る人・・・。苦労してようやく着せ終わったら「トイレ」で また一からやり直し。でも、ま、そんなことで心の平安が保てるのなら してあげなくちゃね。看護婦さん達にも「幸子はいつも笑っているから 疲れが外からわからない」と言われているし、今日は患者さんから「Sonnenschein」なんて言われちゃったし、頑張るよん。
最近日が短くなってきて、朝も真っ暗だし、夜帰宅する時も真っ暗で なんか淋しい。損しているような気分というか、減っていくお財布の中身を見ている気分。

* * * * *

「Sonnenschein」とは「日の光(輝き)」のこと。

早番は朝6時開始で、直通のバスがない下り坂だったので、行きはいつも30分位歩いて通勤していた。遅番は夜8時迄で、帰りは上り坂なので、バスを乗り継いで。


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