ラベル 1学期 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 1学期 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

20250916

2000/09/16(土)

 
姉妹都市のお祭りで、フランスとイタリアの市がたって見に行った。おいしそうなものが山ほどあって、日本でのことを思えば夢のような安さなんだけれど 今の私にとっては やっぱり高くて 買わなかった。病院で食事は間に合っているからねえ。
その後アナと本屋さんめぐりをした。アナとは本の趣味が合って楽しい。ヘッセの話になった時、ヘッセが好きかと聞かれて 2、3の作品は凄くいいと思うけど あとはあんまり、と言ったら、どれが好き?と聞かれ、「デミアン」「そう!やっぱり あれだよね!」「荒野のおおかみは?」とまた聞かれ、「2番目に好き」「そうそう!」 「シッダールタは?」「あれはあんまり。ナルチスとゴルトムントの方が好き」「やっぱりそうだよね」と すっかり意気投合。
アナはソルジェニーツィンを知らなくて、私がイワンをみつけて「これ」と教えてあげたら即買うので びっくりした。「幸子がいいって言うから 買ってみる」と。アナに素敵なドイツ語の本をいくつか教えてもらって、その時はみつからなかったけど みつけたら是非読んでみよう。お互いに朗読しあったりして楽しんだ。アナは読み聞かせが凄く上手。




売り物の帽子とマフラーを試着しているアナ。フランス語圏のアフリカに1年間いたので、市でフランス語を話せるのが懐かしくて、喜んでいた。

病院でストレスをためて働くか 楽しく働くかは 結局本人次第。例えばナースコールでとんで行って「この角砂糖を半分に切って」と言われたら、この忙しい時に!!キーッ!!と反応することもできるし、笑い話しとして同僚に「あのね、さっきね・・・」と話して 爆笑することもできる。薬を飲ませたくても口を絶対開かない人に 力ずくで口をこじ開けることもできるし、策略でうまく口を開かせることもできる。(これはやってみたら なあんだ、という事なんだけど、大口開いて「Ahーーー」と言ってみせると つられて「Ahーーー」と ぱっくり口を空いてくれる。あまりにもうまくいって 笑えて仕方がなかった。しかも何回でも通用するの。二さじめは駄目かと思ったんだけど、何さじでもO.K.) 



ナースコールしておいて何が頼みたかったのか忘れちゃうひともいるし、「Hilfe mir(助けて)!」と言うから 一体何をしたらいいの?と聞いたら「・・・etwas gutes(何かいいこと)」とか。楽しくて仕方がないけど、ナーバスになっちゃう看護婦さんもいる。(新しい子は特に) 私なんか帰り道に 思い出し笑いしちゃう位だけどなー。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250913

2000/09/13(水)

 
病院の遠足でスイスへ行った。ボーデン湖。日帰りの社員旅行みたいなもんね。
病院は休めないから3回に分けて順番に行くの。楽しかったよー☄  水族館にも入ったけど、Boden See(ボーデン湖)~Rhein(ライン川)~Nordsee(北海)という水族館で 淡水魚が殆どで きれいなのはいなかった。でも、エイってひょうきんだね。水面に顔出して 立ち泳ぎとかしてるのは 人間を眺めているんだって。ちゃんと見分けるらしい。あと嗅覚も鋭いし、電磁場も感知するんだって。知らなかった。
古い町並みを歩いて、Caféに入って Apfelstrudelを食べて、船にも乗って・・・。


本当はアナも来る筈だったのが Marburgへ入学手続きに行かないといけなくて来ず、ビルギットとマーグレットという同じ階の看護婦さんと一緒に行動した。(階毎にStationが分けられている)
いろいろ話していたら、こんな素敵な病院でも 看護婦不足なんだって。お年寄り相手で肉体的にキツいから。医者はどこでも過剰なのにねえ。就労ビザさえあれば 看護婦になって一生ここで働いてもいい、と思っちゃう位の病院だけど、そう思うのは私は日本の「職場」とか「病院」に慣れてしまっているからなんだろうねえ。こちらの人にとっては 確かにいい病院だけど、そんな感涙、という程じゃないみたい。キツいのは確か。お年寄りと言っても大半は太っているから 動かす&支えるのは大変。・・・でもねえ、本当に働くことが「喜び」なんだよ。てっきり働きたい人が押し寄せているんだと思っていた。考えられん。


まがりなりにも「御飯」が炊けるようになると ふりかけが欲しい。こちらのパラパラライスならスープやソースと合うけど、ねちっとした御飯にクリームソースなんか かける気しないもんねー。一度正にチャーシュー、というハムを食べたことがあるから、あれを刻んでお正油たらしたら いけるかも。卵が新鮮だから卵御飯もいいかも。でもお茶碗もおはしもない。

兎に角今は食べ過ぎて 胃が疲れているだろうなー、と思う。晩御飯でも 今迄は空腹が満たされるとやめていたのに、今は病院で毎日 晩御飯用のパン、ハム、チーズ等一包みもらうから一包み食べちゃう。お昼もお腹がすかないように たっぷり食べるし。それでも仕事が終わるころにはもうキューーーッ⤵  という位 お腹ペコペコになっちゃう。休憩にはケーキ食べるし、早番の時は朝ごはん 家と病院と2回食べるし。名古屋ではいつも盛り切りで 小食だったのになー。

* * * * *

この時はまだ医者過剰で、就職はかなり難しいという見込みだった。
医者になるのは医学部で、お金を稼がない大学生なので、席さえあればビザは下りる。看護婦になるのは職業訓練校なので、看護学生のうちから給料(少ないけれど)が出るため、就労ビザが必要。
そしてこの実習は無給なので、三食ごはん付きだった。

お肉屋さんで、切り落とした端っこを山にして安く売っていて、一枚一枚違うのが混じっているのが丁度良くて、私はよくそれを買っていた。その中に一度、「うわっ、これ、チャーシューやん!」というのが混じっていた事があったのだ。


にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250912

2000/09/12(火)

 
猫、最後の方はイマイチ。今週は遅番が多くて有難い。早番で帰って来ても疲れていて何もできないから 遅番で午前中に色々しておく方がよい。来期の新入生が書類の茶封筒を抱えて街をうろうろしている。半年毎に新入生、というのは不思議な感じ。
遂にかかとをこする やすり(?)を買った。靴下が脱げない位がしがしだったから。

患者さんに問題爺の作家がいるんだけど、私のことを凄く気に入ってくれている。自立している人なので 私は「お世話」は殆どしていなくて 食事やコーヒーを運んだり ナースコールで行ったりする位なんだけど 「その笑顔がとてもいいから 一日中でもここに居て欲しい」などと言ってくれる。(←日本語にするとあやしいけど ちゃんと礼儀正しい人だよ。何故 問題爺かと言うと 酸素を自分で外して散歩に行っちゃったり、いろいろ好みが激しい。)戯曲が70年代に日本語に翻訳されているんだって。で、今日は名刺をくれて、「どこに住んでいるの?」と聞くから何かと思ったら、その人の隣人が旧市街に素敵なWohnungを貸しているんだって。家賃550マルク位で、家主はよく知っているけど凄くいい人だって言っていた。う゛ー、誘惑。この住宅難のTübingenで、旧市街に500マルク代で住めるなんて!!! でも今の家賃の倍だからなー。断るのが本当につらい。静かで窓からお城が見えて、教会のすぐ近くのとてもいい所なんだって。はあー。誰かと二人で住んだとしても今より水道・電気代分は高くなるし、友達と住むと気儘に勉強できないしね。残念。あ゛う゛ー💧💧💧 がるがる

凄く気の合う看護婦さん二人がいて(同年代)、「幸子がもうすぐいなくなってしまうのは とても残念。凄くいい働きをするのに!」と言ってもらった。これは余り認めたくないけど あの悲惨な営業時代の下働きが役立っていると思う。今の私は重要な仕事というのはできないから、看護婦さんが何か片付けとか雑用をしようとしていたら すぐ 私がやる、と取るし、看護婦さんが手伝いを必要とする時には 自分のは後まわしにして すぐ行くし。実習生なんて所詮 便利屋さんなんだから そうあるべきだと私は思うのね。
でも、今迄は お金をもらう以上は楽しい仕事なんて存在する訳がない、というのが持論だったんだけど、ここにあったわ。今はお金もらってないけど 同じ内容でバイトもできるし、看護婦さんも区別していない(バイトと無給と)。何故こんなに楽しく働けるんだろう、と思ったら 人間関係が円滑だからなんだね。仕事を教わる上司というのはいるけれど、気を使わなくてもいい。勿論礼儀正しくはするけれど、礼儀というのはこちらでは一方通行はあり得ない。こちらがSieでよべば 相手もSieで私を呼ぶ(看護婦さんとはDu)。お医者さんだって手元にポットがあれば 看護婦さんにお茶をついであげるし、何かしてあげればすぐに「Danke!」と返ってくる。ちょっと気をきかせれば「Super!」「Toll!」と称賛される。そしてみんな にこにこしている。特に若くないお医者さんの穏やかな笑顔は日本では少ないかなー。大体笑っていない顔が(私は)浮かぶけど、どう?今の病院は ひとりずつ顔を思い浮かべると みんな笑顔で出てくる。ユーモアのある人が多いし。患者さんとも冗談ばっかり。車椅子で散歩している患者さんにお薬持って行ったら、薬イヤさに「私は○○じゃないよ、彼は病室に寝てる筈」なんて言った人もいたし。退院の時に別れを惜しんで 涙、涙の患者さんも多い。「絶対にあなた達の事は忘れない」「近くへ来たら寄るから」と。凄いことだよねー。

* * * * *

この、お医者さんが看護婦さんにお茶をついであげたの、もの凄いカルチャーショックで、今でも目に焼き付いている。こちらの感覚では、彼の近くにポットがあったのだから、当然の事だったんだけどさ。

ドイツ語にも敬称(Sie、あなた)と親称(du、きみ)があるのだけれど、日本のそれとはちょっと違う。日本なら目下が目上に敬称、目上が目下に親称を使ったりするけれど、ドイツではお互いに同じ称を使い合うの。上下関係ではなく、仲の距離というか、「敬語を使い合う、よそゆきの関係」と「くだけた言葉で話す、家族友達のような関係」を区別する。

「Wohnung」はアパートのこと。寮は水道・電気・暖房代込みだったけれど、アパートに住むと、そういうのも別計算になる。そしてこの作家爺、今思えば、絶対に下心ありありだったわ・・・。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250910

2000/09/10(日)

 
今日はお天気がよかったのでNeckarのほとりのベンチで半日過ごした。緑に囲まれて本を読んでいると たとえそれが解剖学の本でも 爽やかーーな気持ちになる。ああ、でも既に骨の立体感が薄れつつある・・・。前は目をつぶると コンピューターの立体図みたいに全方向からの図が浮かんだのに。やっぱり骸骨一体欲しいなー。これから筋肉を覚えるから 全体像を頭の中に叩き込まなくちゃ。
今 漱石の猫を読んでいる。やっぱりうまいねー。これぞ文学、文字を操る価値。しかし今の日本には解説ひとつ書ける人もおらんのか💢という気分。本を読み終わった人に あらすじだの感想文だの読ませてどうする💢 うきーっ ちょっとまともな事が書いてあるなと思うと大岡昇平とか伊藤整とか柄谷行人とか。←まだ生きてる?「今の人」? 中島敦の後で井上靖を読んだら あ、こりゃあかん、売りゃよかった・・・💧 漱石読んでると、記憶している万柳掲載ネタがちょこちょこ出てくる。これは選者の責任だよねー。たまに使い古されたようなネタも載っているし、選者暫く休養・充電した方がいいかも。・・・だからイマイチ常連のようにのめり込めない。作るのは楽しいけど。

* * * * *

何か色々、何様発言してますが、時効という事で(恥)。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250909

2000/09/09(土)

 
・・・

またまたみんなが遊びに来れないとは残念。ま、次の機会に、ね。
ところで送金はいつ頃してもらえるでせうか。年内にはしてくれる?こちらでマルク定期 年利4-5%というキャンペーンがあったけど逃したよ。ちっ だって残金そんなに余裕ないもん。

・・・

こっちへ来ると、私達の考え方が普通で、何故それが日本で通らないのか 誰も理解できない。リサさんは日本を知っているから わかるけど、ジェディもハネもキムもアナも。どこにLiebeがあるの?と。私が聞きたいよ。アナと死の医学の話しになって 私達のことを話したら 涙ぐんでいた。私もこちらへ来て、医学を勉強し始めて、実習を始めて、泣いてばかりです。ばあちゃんは私をドイツへ行かせたがらなかったけど、もし私が今 お年寄りにしている事をばあちゃんにしてあげたら どんなに喜んだかなーー、と。患者さんに「今日はお天気悪くて残念だね」と言ったら 「あなたが太陽よ」なんて言ってくれる。ナースコールで行くと、用事が済んでも「もうちょっとここに居て」と言われる。これがばあちゃんだったら、と。そういう不毛な事は考えない、何もやり直しできないからこそ 今 生きているお年寄りに沢山してあげるゾ、と決心したんだけど、なかなか、ねえ。じいちゃんが いまだに医療センターに通っているというのも 目の前が真っ暗になる思いがする。はあ・・・

・・・

寮は汚いけれど安いからねえ。もし縁があって いいWG(Wohngemeinschaft)でもみつかれば引っ越すかも。今 隣室が空いているので、どんな子が越してくるか ちょっと心配。静かな子ならいいんだけど。私にとっては騒音だけが重要問題。今は眠りが浅いからねえ。
体調はよい。生理が最初パタッと止まって その後3週弱周期でくるのが鬱陶しいけど、実習を始めたら めちゃくちゃ軽くなって がんがん働ける。働かなくちゃいけないのを身体が知っているのかなあ。どうも太ったよ。2kg3kg?は太ったんじゃないかなあ。病院で あー、満足、という位食べてるからねえ。でも、お金もらえなくて食券だけだから しっかり食べなきゃ損だし、実際動くからすぐ空腹になる。ジーンズがはけるサイズは保たなくちゃね。お母さんのKENZOのスカートももらいたいし。フフフ。

・・・

今週末はお休み。もらった炊飯器を試してみたら ちゃんと炊けたよ☄ ちょっと水加減失敗したけど。こっちの人はお米とがないし、吸水させないし、蒸らさないけど、その手順を踏んだら ちゃんと粘りのある御飯が炊けた。もらったふりかけでハグハグ食べて、1合位食べてしまった💦 感涙、という感じでは全くなくて、ああ、こんな食べ物があったなあ・・・(遠い目)・・・という状態。病気の時にいいかも。



こちらはもうすっかり寒くなって、朝なんかセーター着てもこごえる位。昼間は暑くてTシャツだけど。
アナはKafkaが好きだって。部屋へ遊びに来て、昔の写真を見せたら「一人の人間の発展の歴史!」と驚嘆していた。(中・高→現在) 昔の写真は本当に暗い顔をしている。名東なんか楽しかったのになー。なんででしょ。
アナも昔と今と全っ然違うよ。キムもそのタイプ。アナがTübingenに入学しないのは本当に本当に残念。凄く心の通うものがあるのになー。Platz-Tauschに応じる人がありますように。
日本からe-mailが英語で届くと、8割は "I'm busy." が入っている。なんか かわいそうになってくる。「忙しい忙しいという人程 何もしない」ってね。でも仕事は不本意でやるから どうしても 'busy' という感覚なんだろうな。私の働いていた時みたいに。今の私はやる事は沢山あっても全然 'busy' じゃない。 ・・・あ、一句できた。でも駄作。

* * * * *

当時の日本は既に、定期預金しても金利1%以下だったので、ドイツの定期預金は凄く魅力的だった。

「WG」はシェアハウスのこと。

当時は図書館にあるコンピューター(白黒画面)で、大学のメールアドレスを使っていたので、日本語が読めなかった。それで、英語やローマ字でやりとりしていた。


にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250908

2000/09/08(金)

 
アナがTübingenではなく Marburgの入学許可を受け取って、二人して大ショック。Marburgの志願者が少なくて まわされちゃったんだろうなあ。Platz-Tauschにかけるしかない。はあーーー・・・

ヘニングと会ってピアノを聴かせてもらった。かなりの難曲を弾きこなすんだけど、惜しいことに心がない。Schimmelの音は初めて聴いたよ。日本では日常的にヤマハ以外は殆ど聴く機会がないもんねえ。感想を聞かれなくてよかった。曲については聞かれたけど。
グリーグ、ショパン、スクリャービン、モーツァルト、バッハ、ベートーヴェン、ラヴェル、ブラームス・・・

* * * * *

前にも書いた通り、アナの成績は満点のようなものだったので、大学も志望が通ると信じて疑いもしなかったのだけれど、成績は合否を決めるだけで、どの大学に振り分けるかはまた別問題だったのだろう。
私はアナによってドイツ生活の楽しさを開眼して貰ったので、新学期からアナがいなくなるというのが、本当に地の底に突き落とされる位の絶望だった。
「Platz-Tausch」というのは、マッチングする相手があれば、大学の席を交換する事ができるの。

Schimmelというのはピアノのメーカー名。ヘニングのピアノに「心がなかった」のは、今思えば当然の事で、彼は入学直前に家族を二人も喪っていたのだ。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250907

2000/09/07(木)

 
また一人患者さんが亡くなった。誰も予想していなかった突然のことで、呆然。葬儀社がくる前に基本的な身仕度をさせるんだけど、まだぬくもりがあって なんかまだ生きているみたいな気がして、死というのは瞬間じゃない、というのを納得。ここでは(ドイツ?この病院?)死が生活というか 生きている中の一環として ごく自然に溶け込んでいるのを感ずる。
患者さんに「あなたはいいお医者さんになるよ」と言われると とても嬉しい。お世辞というのは社会の潤滑油かも・・・💧 でも、ま、お世辞にしても 言いたくない人には言わないんだし、と思って有難く聞いています。


にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250905

日付不明

 
ナースコール押しまくりの人は、実は ベッド安静じゃなかった!! 歩くことも トイレへ行くことも許可されていた!! こんな人もいるんだねー。何をわざわざ好んで尿器なんか使いたいかなー。呼びつけられる度に「ちょっとは動かないと筋肉弱るよ」と言ったが ちっともこたえない。私がいない時に「あの日本人の女のコはどこへ行った?」と探していたというから これでも私は優しいのかなあ。うむう。 
薬物中毒の人が入院してきた。クラウディアが「TropenklinikにDrogen」としゃれて喜んでいた。ちょっとイカレた目をしているけど、この程度の顔ならその辺に普通にいるねえ、という感じ。ま、ちゃんと治療中だし。
ちょっとボケた人二人の部屋で、片方が退院となって荷づくりしていたら もう片方もすっかり「旅立ち」の気分になって、二人でよだれかけした儘 ベッドに並んで腰かけて 荷物をかかえていた。ウフフ。「恍惚の人」を改めて読み直してしまった。ああ、日本!!
身内のボケた姿というのは悲しくなるから、かえって他人の方が楽しく世話できるんだろうな。個人の手におえるものでもないし。そうそう、病院でも寝間着は夜だけで、寝たきりの人以外はみんな着替える。自分で着替えられない人は手伝ってでも着替えさせる。気分が違うよね。





* * * * *

そうそう。
当時の日本の病院は、入院したらパジャマに着替え、食事もベッドでというのが普通だった。
それが、この病院で実習を始めてみたら、入院中でも昼間は普通の洋服に着替え、病室にテーブルセットがあって、そこで食事する。(更に軽症で移動に問題がない患者さんは、食堂に食べに行く)。というのに、びっくりしたのだった。

「Drogen」はドラッグのこと。
クラウディアは、この病院を紹介してくれた子。敬虔なクリスチャンだったので、ミッション系(アフリカなど未開の地に行くため、熱帯病にかかる事がままあり、それでTropenklinik)のこの病院を選んだのだと思う。確かお父さんがお医者さんでアフリカに住んだ時期があった関係で飛び級か何かしていて、同級生の中で最年少の十代だった(夏学期始まりだったので、殆どの子が20歳以上)。
オリエンテーションで仲良くなって、初めて寮に招待してくれて一緒にトマトソース・スパゲッティを作ったり、日本では大人になると予防接種の更新をしないと知って「これだけは必要」と受けるべき予防接種のリストを書いてくれたり、この病院に出す志望書や履歴書をチェックしてくれたりした。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250904

2000/09/04(月)

 
今日はお休みで これでもかという位寝た。(眠った。)
ぞうりは ようやくはいています。気持ちいい。でも かかとの具合が悪くて い草にひっかかる💦
柿の種も遂に開封。古くなっても勿体ないし。口がヒリヒリする位 辛さに敏感になっています。今はよく食べ、よく動き、まずよく眠る。なかなか健康。アルコールで手が荒れるのと かかとがバリバリなのは仕方ない。目はとても悪い。
化学(有機)が難しい💦 せめて高校でちゃんとやってればなあ・・・。あと一箇月で何とか予習しよう。あ゛ー う゛ー

学期中は鏡を見るのが恐ろしい位の形相で、歳とったなあ トホホ と思っていたんだけど、ここのところまずまずの顔。病院の鏡で見る顔が一番いきいきしているかな。少し力が抜けたというか、悲壮感漂う感じじゃなくなってきた。精一杯やれば ある程度の結果は出せることが判ったし、ベストを尽くしても駄目なら それはそれで仕方がないんだし。 ・・・と思っても また学期が始まるとああなるんだろうなあ。理屈じゃなく 追い詰められちゃうんだな。

* * * * *

当時のドイツはエキゾチックな外国の食べ物が今ほど広まっていなくて、辛いものは少なかった。それで、柿の種が凄く辛く感じたという訳。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250903

2000/09/03(日)

 
新しく入院してきた人でナースコール押しまくりの人がいて かなり疲れる。「ベッドにて安静」の人で トイレの場合もあるから 取り敢えずすっとんで行かないといけないのが、行ってみると「枕をちょっと直して」とか「水をもう少し足しておいて」(なくなった訳じゃないのを50cc位足させる💦)とか。日本のマイク式の方がいいかも。でも、あれだとナースステーションに誰かいないといけないでしょう。私達のはポケベルが鳴って、号室が表示されるの。食事介助とか 朝晩の身じたくの忙しい時間帯に限って鳴らしまくってくれるから・・・。裸の患者さんにがばっとお布団かけて とんで行くとこれだもん。しくしく
しかも私は気に入られていて、気に入らない看護婦さんとは衝突しまくるから 誰もナースコールに行きたがらない。うるうる 気持ちはわかるんだけどねえ。
前にもベッドから下りたいがために「トイレ」と言う人がいて、何度トイレにつれて行っても何も出ない。で、アナがキレて、「勿論私だって あなたの立場になれば 外へ出たくてナースコールすると思う。その気持ちは凄くよくわかる。でも これを繰り返していると 本当に必要な時に誰も来てくれなくなるよ。外へ出たいなら 時間のある時に来てあげるから」とキッパリ言った。
お年寄りは自分のやり方にこだわっていて絶対ゆずらないから大変。シャツをパンツの中に入れる人、逆の人、まずパンツをはく人、シャツを着る人・・・。苦労してようやく着せ終わったら「トイレ」で また一からやり直し。でも、ま、そんなことで心の平安が保てるのなら してあげなくちゃね。看護婦さん達にも「幸子はいつも笑っているから 疲れが外からわからない」と言われているし、今日は患者さんから「Sonnenschein」なんて言われちゃったし、頑張るよん。
最近日が短くなってきて、朝も真っ暗だし、夜帰宅する時も真っ暗で なんか淋しい。損しているような気分というか、減っていくお財布の中身を見ている気分。

* * * * *

「Sonnenschein」とは「日の光(輝き)」のこと。

早番は朝6時開始で、直通のバスがない下り坂だったので、行きはいつも30分位歩いて通勤していた。遅番は夜8時迄で、帰りは上り坂なので、バスを乗り継いで。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250830

2000/08/30(水)

 
私に「ママ」と泣きついてきた あの患者さんは 今日亡くなってしまった。私が見まわった時すやすやと眠っていて、30分後位に他の看護婦さんが行ったら もう息をひきとっていた。呆然。

昨日の患者さんは今日なんとパンを食べてくれた。耳を落としたの一枚全部。


にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250829

2000/08/29(火)

 
先週よくしゃべっていた人が 今週話しかけても反応しなくなったり、逆に先週表情もろくになかった人が 今週は会話できたり。椅子に座ると顔つきが がらっと変わるというのもある。そして寝たきりの人でも 口の周りは気にするから 食べさせる時 こまめに口を拭いてあげると喜ぶ。食べさせていると、なんでこんな事をばあちゃんにしてあげる看護婦がいなかったんだろう、と思う。私達はチームだけど 介助がいる人が偏ると 他チームが応援して、必ず数を確認して みんなが食事できるようにしているよ。忙しいとかそういう問題じゃないよ。
入院してきた時は床ズレがひどくて うわごとばかり言って、しかもハンガリー語しか話さなくなってしまっていた おばあさんが どんどん元気になってきて、「Danke schön!」とか言ってくれるようになってきて喜んでいたら、ドイツ語も話すようになって、「あなたはとても可愛らしい」と言ってくれて 泣けてきてしまった。床ズレが深くて 緑色の膿に覆われていて 骨と皮で、手を握り返す力もなかった人だよ。こんな回復だってあるのに。
新しく来た患者さんのところへ行って握手して自己紹介していたら「小鳥みたいね」と言われてびっくり。日本じゃ怖い私がドイツでは小鳥?うはは 笑顔と歯並びはよく誉められる。

* * * * *

祖母がホスピスに移る前に入院していた病院で、昼間に誰も行けなかった日、一日御飯抜きで横たわっていた事があったのだ。

 

にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250827

2000/08/27(日)

 
11日間連続勤務のあとの3日間の休日。この1週間は実にアクティブであった。

ー 看護婦さんに「あなたは人をなだめる(落ち着かせる)のが上手だから」と指名されて、鼻から胃の栄養チューブを通すお手伝いを2回した。一人は目も半分見ていないような どんよりとした表情の人(♀)だったんだけど、手を握ったら ギューッと握り返してきて、終わった時に「やったね、もう終わりだよ」と言ったら にこっと笑ってくれた。こういう笑顔の価値☆彡 もう一人は80歳位の人(♀)で やっぱりチューブを通す位だから 同じ様な状態の人だったんだけど、終わってからも暫くさすって慰めてあげていたら、いきなり「ママ、ママ」と泣きながら縋りついてきた。 感染症の疑いのあった人(♂)は 元々99%白だったんだけど、晴れて(隔離)解除になった。片足しかなくて、かなり意思疎通が難しく、機嫌が悪いと狂暴になるおじいさん。何故か私のことは気に入ってくれていて、薬もちゃんと飲んでくれるのはいいんだけど、手を握って放さない💦 
半分正気じゃない人(・・・って日本語にすると変だねえ)は、手を握ると安心するみたいで ギューッとしがみついて離さない人が多い。淋しいんだね。例の痛み止めが効かない人(♀)も、手を握ってさすってあげていたら「痛くなくなってきた。魔法だ! 今なら眠れる」と喜んでくれた。モルヒネシロップを飲んで、更に痛いときは注射もするんだけど、それ迄 人の顔さえ見れば注射をせがんでいたのが その日は注射なしで眠れた。私のうぬぼれで言えば、その日から私の勤務中には一本も注射を必要としなくなった。手術、リハビリの為に転院で、お別れの時に「これでアイスでも食べて」と20マルクくれた(チップ)。要らないって言ったんだけど、だんなさんと二人で「痛みから解放されたのは 今迄病院を転々としてきて ここが初めてだったから」と。「あなたがさすってくれると 心が落ち着いて 痛みが消えた」って。最後に「抱きしめさせて」と言われて 抱き合ってお別れした。手術が成功するといいんだけど・・・。患者さん達から チョコレートだの桃だの 「おいしかったから」と半分食べて残しておいてくれたパンだのもらったり、「退院したら家へ遊びに来てね」なんて言われると、疲れが吹き飛ぶ。

ー 寮で顔見知りだった日本人の女の子が帰国するお別れパーティーによばれていって、久々に日本食を口にした。冬にまたちょっと来るということで、荷物を2箱預かってあげるお礼にと電気炊飯器をもらってしまった。お米を入手せねば。

ー N先生の教え子でUlmにやってきたYさん(♂)がこの週末訪ねて来た。ポスドクだからてっきり歳上と思っていたら 信大同期だった。同級生がポスドクになる歳なのね・・・💧 初めて私もTübingen観光をした。いい街だなー、と改めて。

ー 同じ実習生仲間で素晴らしい友達ができた。アナといって、まだ入学していなくて 来期から医学部入学予定。なんとAbi 1.0。これは日本でいうオール10位で、ほぼパーフェクトの最高点。Tübingenが第一希望で出してあるというから これは確実に通る。ハノーファー出身。活発で 人を笑わすのが上手で、自分も楽しむことを知っていて、でも内面は凄く深く考えている。私をパワーアップ&レベルアップした感じ。いいなあ。かなわない。夜一緒に食事に出掛けてから すっかり意気投合して 踊りに行ったりした。私がお年寄りをどうやって慰めているのか、とか どうやって例の患者さんんの痛みをとったか、とか詳しく聞かれた。日本の社会とか若者の現状とか政治も。「幸子は人にポジティヴなものを与えることができる」と言われて嬉しかった。彼女は医学部に入ることに不安を感じていて、「私にとって勉学は余りにも安易で、勉強する→いい成績をとる という単純な連鎖だから 楽しめるか心配」などという恐ろしい事を言っている。でも、今の実習ぶりをみていると、素敵なお医者さんになると思う。こういういい友達ができると、うーー、私も頑張らなくっちゃ、と思う。今迄 周囲にこういう「凄いなーー!」と思えるような友達、ライバルはいなかったのが、ドイツに来てみたら 一人、また一人と出会うから嬉しい。やっぱり 何を勉強するか、だけじゃなくて 誰と、というのは ものすごく重要だと思う。
最近試験も済んでストレスがなくなって、病院でおいしい食事をたっぷり得て、何となく頬がまるくなってきたような・・・💧 通勤に歩くし、勤務中も歩いたり力仕事だから健康的。



病棟のキッチンで、向かって右がアナ。左はチェコからの実習生で、時々キッチンで朗々と歌っていた。

* * * * *

20マルクって、当時のチップとしては破格で、学生には大金です。
食べかけのものは、勿論後でこっそり処分するしかないので、固辞するんだけど。

当時の手帳を見ると、アナと三晩連続で待ち合わせして遊びに行っている。
初日は街をブラブラして、アフリカ料理(レストランでなく、何かの集まりで、半分ボランティアの持ち寄りみたいなので、安く食べられた)。次の日は68年代パーティー(その頃の音楽ばかりかけるディスコ)。その次の日は、女性限定ディスコ。

アナは実習のために初めてテュービンゲンに来たのに、情報収集が凄いし、街でも色んな人に話しかけて、すぐ友達になっちゃう。夕方店仕舞いしている八百屋スタンドの人に「捨てちゃう野菜があったら、くれない?」とか。それで断られても、全然めげない。
今でこそAbi 1.0もそんなに珍しくないけれど、当時は1.0なんて、私は聞いた事なかったよ。

1学期間、勉強しかせずに生きてきて、アナに「そんな事じゃダメ!」と、あちこち連れて行って貰って、その楽しさに目覚めた。



にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250820

2000/08/20(日)

 
この寮の難点は うるさいことと 汚いこと。学生だから仕方ないとは思うものの 私はまだ試験前なのにパーティーを3時頃迄やっていた時は 気が狂いそうだった。シャワーも私一人できれいに掃除するのには もううんざりして 我慢して爪先立ちで歩いている。ギリシア人の女の子が同じ階に住んでいて、友達がよく遊びに来るんだけど、耳遠いんか?という位 大声で談笑する。
あー、静かな所に住みたいなー、とため息が出る時がある。眠りが浅いから気になるだけかも知れないけれど。

そうそう、昨日の人 今日は「痛くない!」と凄く明るい表情をしていた。よかったねー、よかったねー、と一緒に大喜びした。2年前にアフリカに行って、今頃マラリア発症した人が入院してきたよ。そんなこともあるんだねー。

Tちゃんからの8/22付の葉書き、消印が8/14なのは何故???
いんや、8/22はまだ明後日だぞよん。

* * * * *

老年内科重点の病棟だったけれど、熱帯病科もある病院だったので、時々エキゾチックな症例が入院してきて、時には隔離病室も活躍していた。



にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250819

2000/08/19(土)

 
病院にいることを忘れて「家具は?」とか「お風呂に行く」とか言って困らされている人がいるんだけど、今日病室に行ったら「あなたが来ると嬉しい。その笑顔を見ると嬉しい」と言われて びっくり。いつも「何故誰も訪ねてこないの?」とか 動けないのに「ベッドから下りたい」とか言って 答えようがなくて その人の病室はできれば行きたくない気持ちだったのを反省。私はちゃんとした仕事ができない立場なんだから、もっと患者さんの愚痴を聞いてあげなくちゃね。痛みというのは精神的なものも大きくて、痛い痛いとぽろぽろ涙をこぼしている人でも 手を握ってさすってあげていると眠ったりする。(痛み止めが効かない。これも精神的な問題だと思う。イタタタタと痛がるんじゃなくて、おいおい泣いているから。)

糖尿病の人が一番腹が立つ。だって避けられた筈の病気でしょ。他の病気の人は仕方がないけれど・・・。そこまで苦しい思いをしなくちゃいけないのが自業自得っていうのは、ねえ。

* * * * *

↑ここで言っているのは、100キロ超えとかの肥満による糖尿病のこと。

にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250817

2000/08/17(木)

 
我が病院の自慢は床ズレがないこと。他から転院してくると床ズレがひどいの。みんな怒ってる。今日は退院(転院)が多くて忙しくも淋しい一日だった。(お年寄りの退院というのは必ずしも喜ばしいものではない。外科じゃないし。)
食事はスープとメインの食器の底に金属板が入っていて、食事が届いてから病棟でワゴンごと電源につないで10分間あたためると丁度あつあつになる。アイデアだよね。デザートとサラダはちゃんと冷たいまま。

夜お別れパーティーがあった。(看護婦さん数名) 病棟中の人が準備し、歌あり踊りあり 自慢のサラダの持ち寄りにグリルで とても楽しかった。看護婦さんの服を着て差し込み便器を持って踊るのは大爆笑だった。本当に素敵な病院だなあ、としみじみ思った。つんと気どっているような人は一人もいなくて お医者さんでも平気で自分を笑いものにする。みんなの笑顔が凄く凄くいいの。いがみ合いとか 派とか 全くないよ。お年寄りと話していると何故かわからないけど楽しい、という人や、まっオレンジの髪に口ピアスをしているような子が 凄くいい笑顔で世話していたり・・・。思い出のスライドがあって、いろんなスナップを見ていたら その交流の仕方が余りにも素敵で 泣けてきてしまった。私がお別れする訳じゃないのに💧 日本とは次元が違う。



感染症の疑いのある人が入院してきて大変。普通の服でも暑いのに 上っぱりを着て 手袋、マスク着用で汗だく。これがまた正気じゃないおじいさんで、点滴の管とかひっつかむから 手を離させようとすると今度は私の指を恐ろしい馬鹿力でつかんで離さない。指1本ずつはがさないと外れない。んもー



元気そうにしていても癌が転移している人とか 足が1本しかない人とか、パーキンソン病の人とか 半身不随の人とか・・・いろいろ。全然意識せずに接しているけれど モルヒネシロップ飲んでいたりすると はっとする。

* * * * *

お別れ会は確か、1年間の実習をした子達3人(当時はまだ兵役があって、軍に行く代わりに病院で看護の下働きをする事も可能だった)と、他の病院に転職する看護婦さん一人のためだった。



にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250816

2000/08/16(水)

 
私は結構 患者さん達に好かれているよ。「幸子の笑顔がいい」とか言われると 本当に嬉しい。妙な事を口走りかけて ふらふらと どこかへ行きそうになっている人でも ちゃんと相手すると「部屋に戻る」と言うよ。しっかり手をつないで帰ってくる。「この病院は看護婦さんがみんな親切で、病室も清潔で 幸子みたいな人が働いていて・・・」なんて誉めてくれる。


にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ 人気ブログランキング



20250815

2000/08/15(火)

 
日本はお盆だねえ。体温、脈拍、血圧がはかれるようになったよ。仕事ぶりを看護婦さんに誉められて嬉しい。おむつ交換よりトイレの始末の方が大変。どうしてここまで汚せるの?という位 至る所が汚れてしまう。意識しっかりしていると思っていた人でも疲れてくると妙な事を口走ったり徘徊し始めるから大変。でも、例のFrau Doktorは「お加減どうですか」と聞いたら かすかに「gut」と答えてくれたり、ちらっと口元が微笑んだりして 凄く嬉しい。色々大変だけど全然嫌じゃないよ。あーあ、と思いながら ただ掃除したり追いかけたりするだけ。ボケているような人でも うまく相手すれば にこにこ笑うよ。ボケているからって ベッドに縛りつけるような事していたら絶対駄目だよ。感情はあるんだもの。

うちからの荷物について税金の請求がきた。問い合わせてみなくちゃ。あ゛ー、めんど。保険の為に金額書くとこうなるんだねえ。でも少額だからいいと思うんだけどなあ。税金+手数料で42.98マルクも請求。
今日はTちゃんの8/1付の葉書きが届いたよ。葉書きは遅い?んな馬鹿な。よその8/11付の手紙と同時に届いた。8/11付とは またはやいよねえ。


にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング



20250813

2000/08/13(日)

 
昨日、今日とお休み。ごろごろして文法書読んだり 文学読んだり。10年ぶり位で芥川読んだら うまいねー。日本人どんどん馬鹿になっていっているんじゃないかしらんと思ってしまう。昨日Tちゃんからの葉書きが届いてふと消印を見たら7/27。一体どこを旅していたんでしょ?お母さん、お父さんからの8/6のが一昨日に届いているのに。

「野火」を読んでいて「デ・プロフンディス」というラテン語が出てきて ム、(原形)profundus=tief=深い!とわかったのは嬉しかった。芥川の中にもI.N.R.I. (Iesus Nazarenus Rex Iudaeorum)が出てきて、おー、ユダヤ人は複数2格で ユダヤ人達のRex(王)かー、とか。昨年はノンフィクションと翻訳ばかり読んでいたから久々にちゃんとした日本文学を読むと 日本語ってきれいだなー、インテリ言語だなー、と感心。でも「五十は過ぎた老人ばかり」って・・・💧

お休みになったら殆どみんな帰省してしまって淋しい。実習をこの夏休みにしてよかった。ドイツ語忘れずに済むし、やる事があるというのは有難い。寮の部屋は昼なお暗き・・・だから 夏休み中閉じ込もっていたら さぞかし悲惨だと思う。やっぱり早過ぎるかな、まだ無理かな と思った事でも どんどん挑戦していく事が 前進のスピードアップになるよね。みんなには「えーっ、最初の休暇に?」「2箇月一気に?」と結構驚かれたけど。今村さんのペンダント、実習中はできないけれど鎖部分だけでもつけて頑張ろう。
そうそう、病院では選択の余地がない時があって ハム、肉、魚食べてるよ。「野火」で主人公が一切の有機物を食べられなくなる場面があって、そう、それ!本当はそうならなきゃ変なのに ベジタリアンってそこが矛盾してて嫌い、と思った。ハネにこちらでの食生活をきかれて「おいしくて沢山食べるから 6年後には太ってるんじゃないかと心配」と答えたら、「幸子は今凄く細いから、あと10kgは太ってもまだ細い。日本に帰らないんだったら もっと太っても全然平気」と言われた。・・・。月曜から11日間連続出勤だから 気合い入れていかなくっちゃ。その後3連休。

看護婦さんは丁寧に説明してくれて怖くないし(日本の看護婦って怖いよねえ?びくびくしちゃう。)、患者さんもちょっとした事で喜んでくれるし、私が新米なのも知っているから「覚える事ばかりで大変ねえ」と同情(?)してくれていて、人間関係は全く問題ないのが嬉しい。私が教わっていると患者さん達がうんうんとうなずいて通っていくよ。

* * * * *

院長回診で、病室の前で一団が話し合っている横を、そーっと通り抜けようと思ったら、院長先生が突然中断して、握手の手を差し伸べながら「新しい実習生?あなたの名前は?」「どう?」と声を掛けてくれて、もの凄くびっくりした。
それを同級生に話したら、「サチコ、それは普通じゃないよ」だって。

 

にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(ヨーロッパ)へ 人気ブログランキング